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アメリカ不動産:リビングトラストとは

 
 
リビングトラスト、信託 リビングトラストは、エステートプランの中でも、最も基本的で、最低必要なものです。日本語では生前信託などと訳されています。誰かが亡くなり、ある一定金額を超える財産を遺すと、プロベートという手続きが必要になります。これは、裁判所が鑑定士や弁護士を雇って遺産の価値を鑑定し、相続人に分配する手続きです。この手続きには普通1年以上の時間と多額の費用がかかる上に、故人の財産が一般に公表されるため、さまざまな問題を引き起こします。生前にリビングトラストを作っておくことで、このプロベートを避けることができます。
 
 

リビングトラストの仕組み

トラストというのは、一言でいいますと、Trustee、Trustor、Beneficiary の3者間の契約です。Beneficiaryのベネフィットのための、TrusteeとTrustorとの契約ともいえます。Trustee(トラスティー)とは、いわゆる、トラストの管理人、責任者です。Trustor(とラスター)は、Grantor(グランター)とよばれるほうが一般的で、トラストを作って、トラストに財産を入れる人です。そして、Beneficiary(ベネフィシャリー)は、Grantorの死後、トラストの財産を受け取る人です。

アメリカには、全部で60種類以上のトラストがあり、それぞれ、目的、用途が異なります。トラストには、大きく分けて、リボーカブルとイレボーカブルの2種類あります。レボーカブル(revocable)とは撤回可能、イレボーカブル(irrevocable)はその反対で撤回不可能ということです。またトラストは、グランターが生きている間に有効になるトラストもあれば、亡くなってから初めて有効となるトラストもあります。

リビングトラストは、普通は、レボーカブルです。そして、グランターが生きている間に、自分の資産をトラスト名義に移行します。そして、グランター自身がトラスティーとなるのが普通ですが、後任のトラスティーをあらかじめ決めておけば、万が一、グランターが病気や怪我で、自分では正常な判断や資産管理ができなくなった場合に、後任のトラスティーが管理を引き継ぐことができます。後任のトラスティーは、相続人と同一人物でもかまいません。また、リビングトラストは、いつでも変更したり、取り消したりできます。

 

 
 リビングトラストの必要性 
 
 

一般的に相続対策(エステートプラン)と言いますと、遺言書があればよいと思っていらっしゃる方も多いですが、カリフォルニア州をはじめ、アメリカのほとんどの州では、遺言書だけではプロベートを避けることはできません。テレビドラマや映画で、富豪が亡くなった後、弁護士が相続人を集めて、故人の遺言書の内容を言い渡す、というようなシーンがありますが、アメリカでは、遺産が州の規定による一定額を超える場合、いくら遺言書があっても、裁判所がその遺言書を鑑定する「プロベート」という手続きを経なければなりません。

カリフォルニア州の場合、プロベートは、故人の総資産が10万ドル以上あった場合に必要になりますが、これは純資産でなく総資産です。つまり、資産が20万ドル、借金が20万ドルでも、プロベートになります。また、遺言書はその信憑性を問題にして争いが起こることも多いですが、リビングトラストは、そういった可能性は低いといえます。

また、エステートプランと言いますと、高齢になってから考えればいいものと思いがちですが、必ずしもそうではありまえん。たとえば、若い夫婦に万が一のことが起こった場合、遺された幼い子供の養育について決めておく必要があります。また、万が一の事故や予期せぬ病気で、自分が正常の判断ができない状態になった時、治療やお金の出し入れについて、誰に決断を委ねるか、もし植物状態になった時は、どのように扱ってほしいか、などを決めておくことで、家族に与えるストレスを最小限にできます。 (これについては医療委任状のページもごらんください)

私の身近で起きた例をひとつご紹介しましょう。私の親しい友人の祖父母でした。2人は引退するまで生涯働いて、着実に投資をして資産を増やし、経済的には楽な老後を送れるはずの夫婦でしたが、相次いで認知症の症状が出て、そのうちに、食事の世話、入浴、トイレなどの日常のことができなくなりました。そのため、最初は介護の世話をする人に自宅に来てもらっていましたが、症状が悪化し、ついには、24時間看護のナーシングホームへ入居せざる終えなくなりました。自宅介護、ナーシングホームの費用とも、メディケア(米国の高齢者用社会保険)や民間の医療保険ではほとんどカバーされませんので、この長期間の介護費用で老後の蓄えはなくなり、低所得者用のMedi-Calを利用するしかありませんでした。Medi-Calで利用できる施設は非常に限られています。また、Medi-Calを利用するには、貯金、生命保険、その他の財産をほとんど家族に遺すことはできません。祖父が先に亡くなり、次に祖母が亡くなる間際、彼女は孫の前で泣きながら、遺産を何も遺せないことを悔やみながら、孫に謝りながら逝ったそうです。孫である私の友人は、そのときまだ10代で、祖父母からの遺産相続を期待していたわけではありませんが、祖父母のほうにしてみれば、さぞかし悲しかったことだろうと思います。人間だれでも、最期に逝くときになって、自分の人生の悲運を悔やみたくはありませんし、一生働いて築いた財産は、愛する者に遺したいはずです。

エステートプランがなかったための悲劇は、私の周りにいくつもあります。明日何が起きるか、誰にもわかりません。皆さんも、1度考えてみてください。

プロベートQ&Aのページはこちらをどうぞ

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