アメリカ発相続・節税・投資・不動産相談室

2008年8月21日

キャピタルゲイン税の回避

最近相談を受けたケースですが、商業不動産の売却にあたり、
1031エクスチェンジで買い換えて課税を先送りする予定だったのが
だめになり、急遽、不動産エージェントに紹介された投資
アドバイザーのところでトラストを設立したが、この方法が
本当に正しいかどうか見てほしいというものでした。

不動産の売値は$200万ドルでかなりの金額のキャピタルゲインが
あり、もしそのまま売れば約$30万ドルを納税しなければなりません。
そこで、この投資アドバイザーがとった税金回避手段を分析してみると
下記のようなものでした。

まず、ある「トラスト」を設立し、買い手への売却前にこの不動産を
分割払いでこのトラストに売却する。売却金額は買い手との売買契約が
成立している金額と同額。次に、トラストが買い手に売却し、売却益は
トラストが所有し、変額年金などに投資して運用する。

トラストが買い取った同じ価格で買い手に売却しているので、この段階
ではキャピタルゲイン税はゼロです。また、この人はトラストへの売却
を分割払い契約で行っているので、$30万ドル前後の課税額のうち、
減価償却回収税以外は、分割にできます。

一見して問題はないように思えましたが、トラストの内容をよく読んで
みると、気になることが出てきました。

「トラスト」と呼んではいますが、実際は株式会社の形態をとっている
ようで、相続人などの記述はまったくなく、すべてをコントロールおよび
所有しているのは、100%の株を所有している、「ある会社」となっています。
相談に来たこの方は、知らないままこれらの書類にサインすることによって、
約$90万ドルの元本については一切の権利を放棄してしまっており、
資金運用などについてサイン権を握っているのは株主である会社なので、
その了解がなければ、自分のお金でありながら、何もすることができない
状態となっています。また、もしこの会社がローン完済前に破産してしまったら、
残りのお金を取り戻す手段はなくなると考えられます。

つまり、法律に遵守してはいるものの、$90万ドルをそっくり盗まれたと
言ってもいいような内容なのでした。

今のところ、会社も存在しており、社員の応対も問題ないようなので、この
ままローンの支払いがきちんとされれば全てうまく収まる可能性も高いですが、
それにしても、私なら絶対に使わない方法ですし、もしこの方が事前に相談
に来たならば、やめるように説得しただろうと思います。世の中に悪い人
ばかりではないとは思いますし、これが詐欺集団ではないことを祈りますが、
それにしても、怖いことです。

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