アメリカ発相続・節税・投資・不動産相談室

2008年5月22日

訴訟から財産を守るには その1

今回から数回にわたって、アセットプロテクションについて書いてみます。
アメリカは訴訟大国です。弁護士の数も多く、テレビで弁護士が「このような
問題を抱えた人はお金がとれますから連絡してください」というような宣伝を
始終しています。街を走るバスの後部には、交通事故専門の弁護士の派手な
宣伝がついていますし、週刊誌や新聞に、刑事訴訟専門の弁護士が、大きな
広告を出しています。訴訟が日常茶飯事のように起こっており、それらの
訴訟から財産を守るために、アセットプロテクション(資産保護)の専門家
や弁護士がまた大忙しなわけです。

さて、アセットプロテクションは訴訟が起こることを防ぐためというよりは、
訴訟で負けても財産を失わない、ということに重点を置いています。たとえば、
LLC - Limited Liability Company(有限責任会社)という法人を設立して、
その法人がアパートを所有しているとします。もしそのアパートに住んでいる
テナントから訴えられて裁判で負け、大きな賠償金の支払いを命じられたとします。
その場合、裁判に勝ったテナントとその弁護士ができることは、所有者である
LLCに、ある種の抵当権のようなものを設定することだけです。しかしこの抵当権
を設定しても、不動産からのレント収入を自動的に差し押さえたりすることは
できません。またLLCの経営者である実質のアパート所有者は、LLCという法人の
性質上、株などを所有しているわけではないため、この債権者に対して、個人
財産から支払いをする義務は生じません。

もしアパートが個人の所有だったら、裁判に負けたら債権者への支払いは、
個人の財産を処分するなどして支払わなければならず、給与所得のある人
でしたら、給与から強制的に差し押さえられる可能性もあります。

LLCは最もシンプルで広く利用されているアセットプロテクションの方法の
ひとつですが、LLCだけでは不十分な場合もあります。(次回へ続く)

ラベル: